「私のファッション屋時代」という本を出版したのは1996年で、すぐに出てしまって、新書版として再刊したのは2002年のことでした。以来いろいろ な話がありまし たが、今度やっと仏語訳が出来て、友人のところから共同で、また本の形になったのです。色々と助けてくれ、友達は有難いなと、感謝ばかり でし た。どんな本でも異国の言葉に訳されるのには、10年はかかるとよく言われますが、それに耐えられるものだったのでしょう。昔のフランス人編集上司 が、 本の行数の詰まり方を見て「結構字数の入った、本格の本を、書いていたんじゃないの」と喜んでくれたのが、一番嬉しかったです。内容は、現在の本業 の 「画家」に、たどり着くまでの話です。

 

 日本人会アーティストクラブのNACで、日本人会の皆さんともお馴染みでしたが、昨秋で会の会推薦代表理 事を退かさせていただきました。1999年か らで、足掛け12年にもなるわけで、これ以上は老害以外の何物でもなく、通常の駐在員のような方だ と3·4年で自然に流れて動くものが、10年は長い、 新人に引き継ぐべきだと判断したからです。経験があって便利かも知れないのですが、長くな ると挑戦には鈍くなって、自分が澱むのを痛感するからです。長 く活動をご支援してくださった皆様に厚く感謝致します。引き続き今後もよろしく NACをご支援ください。

 

 NACの事業に、二年に一回の割で開催をする、ビエンナーレ展というのがあります。2006年の時に、吉井画廊さんが 出してくださる「ラ·リュッシュ 賞」という賞と、トロフィーを頂いていたのでした。これは、出品会員互選投票の集計で決める、何個か出される賞 の一つです。

 

 先日、吉井画廊会長の吉井長三さんからお電話があって「何時うちで展覧会やるんだ」とのお話、もう5年も前の賞の話で、この賞に は、日本にある吉井さ んが作ったラ·リュッシュ美術村での滞在制作と、個展がついているのでした。以前3軒ほど離れたところの、別の画廊で、常設作家として6年居たので、吉井さんともよく交流がありました。しかし、自分の日本で開くところは決まっていますし、作品が間に合わない日々 で、仕事が一杯のスケジュール、あまり連 絡もしなかったのでした。吉井会長さんから、ここまで申し出されては、私も覚悟「丁度出来上がるフラン ス語版の本の出版紹介記念と、ラ·リュッシュ賞記 念で、やりましょう」「それは、丁度タイミングで、縁起がいいや」と話がまとまって、この2月 8日から2月28日まで、パリの吉井画廊さんでの個展と なったのです。私も本を作るのに全力を上げ、本はできたのですが、これからどう展開する か考えていたところでラッキーだったのです。現在、いろいろとパ リでやってくれている画商は、わたしの気まぐれに、目を白黒して心配しているの ですが、こんな事情では文句もいえません。NACに参加していると、チャ ンスもあるのですよと言う、後輩へのわたしの身をもっての表現になりま す。

 

 もう一つ嬉しいことは、この本の翻訳の女性は、日本から美術館学芸員の単位の修得に留学してきていた大学院生で、こんな本を書いてあると話 したとこ ろ、興味を持ってフランス語に挑戦。もちろん日本人訳のフランス文では、そのままでは使えません。文章校正を専門に勉強しているフランス人学生仲間を連 れてきて、二人で共訳の約束にしました。月日の経つ間に、もっと親しくなるのは当然だったのでしょう、先日東京で、三越日本橋 本店の個展会場に、お嬢さ んの親御さんが現れて、お礼と喜びをのべられたのでした。訳が終わって本が形になったいま、二人は学業を終わり、仕事を見つけてカナダで暮らし初めてい ます。縁結び、良きことあれと幸いです。

 

 

赤木 曠児郎
( Kojiro AKAGI    あかぎ·こうじろう 会員  )
画家。1934年岡山市生まれ。1963年以来在パリ。ル·サロン(水彩·油彩金賞2回、終身 無鑑査)。現在SNBA展名誉副会長。旭日小綬章、紺綬褒
章、外務大臣外国功労銀杯。NAC会員。

 

 

 

Galerie

Galer    Kojiro AKAGI 

du 08 au 28 février 2011 

à la GALERIE YOSHII ,

8 AVENUE MATIGNON 75008 PARIS

Tél. +33 1 43 59 73 46

http://www.officiel-galeries-musees.com/exposition/kojiro-akagi?symfony=0ed20bb21982e83071c1525ae40eda0c

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